テレセントリックレーザマーカ開発秘話

0.04mm角の印字を可能にした
“テレセントリックレーザマーカ”が誕生するまで

テレセントリックレーザマーカ MD-T1000

ワークにレーザを照射し、熱エネルギーで文字やバーコードを印字したり、繊細な穴あけや切断といった加工をしたり、さまざまな用途で使われているレーザマーカはキーエンスの主力商品の一つです。

キーエンスソフトウェアの尾崎由典は2008年の入社以来、エンジニアとしてレーザマーカのソフトウェア開発に情熱を注いできました。その新たな挑戦として取り組んだのがテレセントリックレーザマーカMD-T1000の開発プロジェクト。

尾崎に課せられた今回のミッションは、ピンセットなどの細かな医療器具、極小のICチップなどに2次元コードを印字できる高精度なレーザマーカの開発。尾崎は、「入社当初からレーザマーカの開発に携わってきたので自信もあり、開発がスタートする前は“まあ大丈夫だろう!”と軽い気持ちでしたね。でもその考えは大間違いだと、開発がはじまって気づきました」と当時を振り返ります。

商品開発グループ 尾崎が語る開発現場

求められる性能の上をいく提案、それがキーエンスソフトウェアのスタンス

今回のテレセントリックレーザマーカの開発コンセプトは、「超高精細・超安定性・高操作性」の3つを兼ね備えた商品であること。その中でも課題になっていたのが超高精細でした。従来のキーエンス製レーザマーカは、印字できる最小文字が0.1mm角でしたが、それを一気に半分以下の0.04mm角まで持っていこうという計画だったからです。それを実現するには、1つのドッドを20ミクロンにする必要があり、それを実現するために経験のある尾崎でも頭を悩ませました。「高ければ高い山のほうが頂上に登ったと気持ち良いかなと(笑) 半ば強引に自分にそう言い聞かせて、全身全霊をかけて開発にあたりました。」

続けて尾崎はこう語る。「MD-T1000には、カメラ画像をPCアプリ上で表示して位置合わせを行なう機能があるのですが、当初は簡易的な位置づけで開発していました。しかし、デモ用のPCアプリで機能をキーエンス担当者に見せたところ、“思った以上に使える機能だ”という話になり、大々的に商品に盛り込むようになったんです。」と。 ただでさえ高い山にもかかわらず、さらに“プラスα”の付加価値を追い求める姿勢は、キーエンスとの信頼関係があるからできることです。

商品開発グループ シニアエンジニア 尾崎 由典
商品開発グループ シニアエンジニア 尾崎 由典

品質評価グループ 村上が語る開発現場

付加価値を追い求めるために、共有認識を深める重要性

品質評価は、シニアエンジニアの村上忠が担当しました。その開発当時を村上はこう振り返る。「1ドットのずれも許されないレベルで、キーエンスと位置合わせのロジックを完成させた尾崎さんの苦労は相当なものだったと思います。私たち開発は、今回のように求められたことだけではなく、付加価値につながると判断されれば商品に機能を追加します。そして、それを実現するためには常にコミュニケーションを取ることが大切。私もキーエンスソフトウェア内での共通認識を持つために、尾崎さんとは幾度となく話し合いましたね」

品質評価グループ シニアエンジニア 村上 忠
品質評価グループ シニアエンジニア 村上 忠

プロジェクトを通して
~キーエンスの営業スタッフを唸らせたMD-T1000の性能~

キーエンスと綿密なすり合わせを繰り返し、商品開発グループと品質評価グループの担当者が一丸となって情熱を注いだテレセントリックレーザマーカMD-T1000は完成。そして、キーエンス営業スタッフを対象にした新商品説明会では、その性能の素晴らしさに会場にどよめきが起こりました。

「あのときばかりは、心の中でガッツポーズをしましたね! それまでの苦労が一瞬にして報われる至福の時間でした」と村上は振り返る。そして尾崎も同様に、「生涯忘れられないプロジェクトになり、今も深く心にあの瞬間が刻まれています。開発を通して、あきらめないことの大切さを改めて痛感しましたね。同時にキーエンスソフトウェアでの開発の仕事はやりがいがあるなと。本当に自分の仕事を再確認できるプロジェクトでした」と語ってくれました。

近年では部品が小型化し、さらに品質管理の強化から最小備品単位での管理が求められています。そのためには微細なマーキングは必要不可欠。それを実現したテレセントリックレーザマーカMD-T1000は、世界中の“ものづくり”の現場で活躍しています。

テレセントリックレーザマーカ MD-T1000
テレセントリックレーザマーカ MD-T1000