ハイスピードマイクロスコープ開発秘話

動きを観察する“ハイスピードマイクロスコープ”が誕生するまで

ハイスピードマイクロスコープ VW-9000

動きを観察するマイクロスコープとして2008年に発売され、順調に売り上げを伸ばしていたマイクロスコープVW-6000。キーエンスでは後継として、「高速録画性能の向上」「動きの変化量の自動認識」などのコンセプトで新機種開発の話が持ち上がり、キーエンスソフトウェアも初期段階から開発プロジェクトに参画しました。

その開発担当に指名されたのは、中途入社したばかりの瀬崎。瀬崎は当時を「やっと会社の空気に馴染めたかなというタイミングだったので、頭の中には“不安”の2文字しかありませんでした」と振り返ります。

ソフトウェア開発のプロフェッショナル集団として、キーエンスソフトウェアがどのように開発に臨んでいるのか−−。こちらでは、商品開発に携わった瀬崎のコメントを交えて、ハイスピードマイクロスコープVW-9000の開発バックストーリーをご紹介します。

商品開発グループ 瀬崎が語る開発現場

開発現場の自由度に驚き、キーエンスからの信頼の高さを実感した

瀬崎にとってキーエンスソフトウェアでのキャリアは、VW-9000の開発担当からスタートした。まず瀬崎が行なったことは、キーエンスの担当者にヒアリングし、新商品に求める性能を汲み取ることだった。

「入社したばかりでしたが、周囲のメンバーがフォローに入ってくれたので安心して進めることができました。まずは必要な情報を整理し、ソフトウェアの具体的な仕様などをキーエンスの担当者にアイデアとして提案していったのですが、そこで驚いたのが『自由度の高さ』。当社への期待値が高く、任されている領域が広いとは聞いていましたが、“まさかここまでか”と驚きましたね。様々な意見交換をキーエンス担当者と進める事で、目指すべきソフトウェアの仕様を固めてゆくことになりました。」と瀬崎は語る。そこからキーエンスと二人三脚で新商品開発がスタートした。

また、VW-9000は評価対象となる機能規模が大きいうえ、非常に多くの機能を持ち合わせていた。商品コンセプトはもちろんのこと、細部まで性能や機能を把握しなければ、膨大なテストの組み合わせを効率的かつ効果的に実施できない。当然のことながら、プロジェクトには発売日のリミットが設定されており、かつ発売後は多くのエンドユーザーに利用されることで真価が発揮されるため、十分な品質を確保しなければならない。瀬崎は開発が進む中、品質評価担当者とも密にコミュニケーションを取り、計画ミスが発生しないように取り組んでいった。

キーエンスソフトウェアでは、それぞれの考えを打ち出しながら意見交換ができる環境が整っている。入社年数や年齢に関係なく、フラットに意見交換できることが多くの気づき・提案につながり、それが付加価値の高い商品開発につながっている。

商品開発グループ シニアエンジニア 瀬崎 二郎
商品開発グループ シニアエンジニア 瀬崎 二郎

プロジェクトを通して
~業界内で大きな反響を呼んだVW-9000~

開発プロジェクトに関わる人々の努力が実を結び、求められている条件をクリアできる仕様・設計が固まった。そして、完成したハイスピードマイクロスコープVW-9000は、業界内で大きな話題に。速度・時間・距離などの動画測定を実現し、マイクロスコープとして拡大観察・撮影ができる利便性。さらに、高い設置性と簡単な操作性で、シーンを問わず幅広い分野で導入されていったのである。

開発プロジェクトを終えて瀬崎は、「私にとって初めてのプロジェクトだったため、右も左もわからない状況でスタートしたのは大変でした。しかし、開発初期から参画し、商品が完成したときの喜びと達成感は言葉では言い表せないものでした。その時、“キーエンスソフトウェアなら最高のエンジニアになれる”と確信しました。苦労の連続だった日々も、今思い返せば全てが良い経験となりました」と当時を振り返る。

高速度カメラとマイクロスコープを組み合わせ、動きを的確に記録するVW-9000は世界中の“ものづくり”を支えています。

ハイスピードマイクロスコープ VW-9000
ハイスピードマイクロスコープ VW-9000